「種子法」とは?耳慣れないかもしれませんが、ご存知でしょうか?
「種子法(主要農作物種子法)」といわれても、ピンとこない人が多いかもしれません。
一般にはあまり知られていませんが、戦後の日本で、コメや大豆、麦などの種子の安定供給を支えてきた重要法律です。
種子法が成立したのは、1952年5月。
第2次大戦終結のためのサンフランシスコ講和条約が発効された翌月になります。
つまり国の主権を取り戻したのと同じくして、制定されました。
食料供給の責任がどこかへと・・・
戦中、戦後、日本国民は飢えとの戦いでした。
二度と国民を飢えさせない「国民に食料を供給する責任を負う」という国の明確な意思ともとれるこの重要法律が、 突如、廃止されることになったのです。
2017年2月に廃止法が閣議決定され、4月には可決、成立。
種子法は2018年4月1日に廃止されます。
なぜ廃止されたのでしょうか。私たちの食や農業は大丈夫か、一般国民の生活にどう関わってくるのかを調べました。
種子法廃止の目的を政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明します。
種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないといいます。
なるほど昨今の規制緩和の流れに沿っているように聞こえるし、なるほどと思います。
しかしここで種子業界が自由化すれば一体どうなるか想像してみましょう。
おコメや麦の種子を巡る状況がすぐに大きく変わるということは恐らくないですが、万が一、種子法による公的資金のサポートがなくなれば、将来的に生産コストが上乗せされて種子の価格が跳ね上がり、食べ物の価格に影響が出るかもしれません。
また、都道府県が種子事業から撤退し、民間企業による種子の私有化が進むことも懸念されます。
何かが起こる!?
今回一番怖いのはここです。
種子法のベースにあったのは、新しい品種をつくるために素材となる品種=遺伝資源は、国や都道府県が“公共の資産”として持つという考え方。
これが民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして改良された新品種について、改良部分だけでなく種子全体に特許をかけ企業がその所有権を主張するということも起きかねません。
ロイヤリティ(特許料)を払わなければその種子が使えなくなります。
遺伝資源が企業に囲い込まれてしまうということ。
これは「種子の私有化」を意味します。食べ物に特許料、すなわち命を握られてるに等しいですね。
無知とは恐ろしいことで、まずは今何が起きているか、情報を正確に取るのが大事になってきます。